スイングジャーナル誌7月号

2004年にプロ・デビューしているので,すでに大阪のライブ・シーンでは
お馴染みの美麗実力派,北川真美が『クローズ・ユア・アイズ』でCDデビューした。
「収録曲は20年代から50年代のスタンダードばかり。原曲の美しさを大切に録音
したので,古きよき時代を楽しんでもらえれば,と思っています」と北川。
「大好きなペギー・リーの楽曲をたくさん収録しています。アルバム・タイトルにも
なっている<クローズ・ユア・アイズ>も彼女のレパートリー。
ステージではラテンかミディアムで歌ってたんですが,ここではミディアム・スロー
ぐらいのテンポで収録してます。気に入ってるので,これからはこのテンポで
歌っていきたいですね」と今回のアレンジは大のお気に入りのようだ。
「<あなたなしで何処へ>はあまりメジャーではないですが,これもペギー・リー
のレパートリー。切なくて美しくて,一度聴いて大好きになりました」
北川はジヤズを聴き始めてからペギー・リーを知り,バラードの情感豊かで
心に染みるストレートな歌唱に惚れ込んで,彼女の大ファンになった。
 確かに北川のアルバムを聴くと,ジャケットのイメージ・カラー,ブルーそのままに
ブルージーで語りかけるような歌唱はどこかキャピトル時代の成熟したペギー・リー
に通じるところがある。まだ若い北川なのに大人っぽくムーディーなのだ。
 今回のアルバムはデビュー・アルバムにしては珍しくドラムレス。ギターが加わった
一昔前のピアノ・トリオ・スタイルだ。JOTレーベルのプロデューサー清水真吾が
「北川の声にはドラムよりもギターが良く似合う」と言うように心地よく響く腰の坐った
サウンドだ。リズムの要となるドラムが抜けるのは新人には厳しい条件だが,さすがに
実力派北川ゆえ,難なくこなしている。しかも各楽器とデュオ曲まで収録して,これが
なかなかの聴きものなのだ。
「ベースとの<フィーバー>はウォーキング・ベースが心地よくて、
<ウィル・ビー・トゥゲザー・アゲイン>はピアノの旋律が素敵。
<ビューティフル・ラブ>は映画のワン・シーンのような雰囲気のギターで、
録音も映画のサウンドトラックっぽい音になってます」
 最後に「これからもスタンダードを大切に歌っていきます。またライブも来ていただければ
嬉しいです。そしてCDとはちがった私も見てください」と抱負を語った。
(インタビュー・文 藤嶋要吾 )

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